松山支部

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「第354回松温会12月特別例会」を開催

更新日:2014年12月2日

img20150430_0812月2日(火)、松山全日空ホテル・ダイヤモンドボールルームにて「第354回松温会12月特別例会」が開催され、県内外の卒業生や現役学生ら約400名が参加した。今回は、現在の日本酒ブームのエポックメーキングとなった「獺祭(だっさい)」の蔵元である旭酒造株式会社(山口県岩国市)代表取締役社長・桜井博志氏(1973年・大学22回卒)をお招きし、独自の経営戦略で会社の窮地を脱し、経営をV字回復させた発想と実践された経験談を中心に「ピンチはチャンス!~山口の山奥の小さな酒蔵だからこそできたもの」と題し、約1時間の講演が行われた。

img20150430_09「日本酒業界が40年間で1/3に売り上げが縮小する中、30年間で16倍の販売量、売り上げでは40倍もの成長を遂げた」と振り返った。成功した理由は、山口の山奥の過疎地であったからこそ、生き残りをかけて地元ではなく、全国に販路開拓を求めて行った点にあるという。振り返ってみると、県内の米が手に入らず、優れた杜氏がおらず、杜氏にFA宣言された窮地からのスタートであった。また、不振続きの時代は、過去10年売れなかった商品を売れなかった取引先を通して売れなかったお客に一生懸命売る努力をしていた。そこで、『獺祭』という商品だけに特化し、山田錦の玄米を3割9分、2割3分に磨き、その部分だけを醸造して大吟醸酒を製造し、一番良い状態のお酒をお客様に提供できるように販売の増減にも柔軟に対応できるよう「四季醸造体制」の確立も行うといったこだわりの姿勢で社員自らが杜氏も務め、蔵元全員の力で唯一無二の日本酒を作り上げた。そして、東京という大市場に勝負を挑んだ。「東京の市場は厳しいが、地元に市場が無かったのでしがみつくしかなかった」その中で、既存の市場にこだわらない売れる酒屋にだけ販売するといった「製販同盟」を結び販路開拓に取り組んだ。その努力が実を結ぶと共に『獺祭』の品質が評価され、現在、東京の市場では、最も有名で価値の高い日本酒となった。

img20150430_10東京での成功を足掛かりに世界へ市場開拓を求めた。とりわけ、欧米諸国では高い評価を得ており、現在のテーマは「世界の中で日本の文化的ポジションを造る」ことだという。桜井社長自らが世界の各所に足を運び営業マンとして『獺祭』の品質、そして日本酒の素晴らしさを売り込む姿勢を貫いている。欧米では、「日本酒は日本の歴史と文化により洗練された素晴らしい酒」と評価されるまでになった。しかし、細部の手法とその錬磨にのみこだわる日本的弱点を持つ。「伝統の手法という考え方は弱点に通じる。本当は日本に伝統の手法などはない」と締めくくった。これからも進化(新化)を求めて桜井社長の『逆境経営』という名の戦略は続く…。講演会終了後は、参加者全員で『獺祭』2割3分で乾杯し、懇親会が始まった。初めて『獺祭』に舌鼓を打ち、その豊潤でまろやかな味覚に感嘆の表情を浮かべる方もいた。

img20150430_12懇親会の終盤では、桜井社長が執筆されたベストセラー『逆境経営』のサイン入り書籍や『獺祭』各種、『酒ケーキ』等が当たる抽選会が開催され、桜井社長自らがプレゼンターを務めて頂くなど、会場は盛り上がりを見せた。またその後も桜井社長のもとには引っ切り無しに名刺交換を求める参加者で溢れ、“時の人”との懇親を深めていた。

 

 

次回「第355回松温会1月例会」は、「私、気象予報士になりました」と題して、今年10月に気象予報士に合格され、現在、フリーアナウンサーとして活躍されている水口佳美氏(2004年・大学53回卒)を招き、気象予報士を目指した動機や苦労など聞く講演会を2015年1月
15日(木)正午よりいよてつ会館にて開催する予定である。

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